毎日、いろんなことがありますね。
心がモヤモヤしたり、イライラしたりすること、誰にでもありますよね。
特に「許せない!」という気持ちは、まるで心にずっしりとのしかかる重い荷物みたいです。
でもこの荷物、実はあなたの心を疲れさせ、前に進む元気を奪ってしまうんです。
「許せない!」その気持ち、持ち続けるとどうなる?
誰かに傷つけられたり、理不尽な目に遭ったりしたとき、怒りや悲しみを感じるのは、人間として当たり前のことです。
でも、その怒りや恨みの気持ちを、ずーっと大切に(?)持ち続けてしまうと、どうなるでしょうか?
お釈迦様は、こんなお話をされています。
本当にこの世の中では、恨みに対して恨みで返しても、決して恨みは終わりません。恨みを捨てることで、ようやく恨みは静まるのです。これは、いつの時代も変わらない真実です。(『法句経』第5偈)
『あの人は私を悪く言った。私を傷つけた。私を負かした。私のものを盗んだ』という思いを抱き続ける人には、恨みが終わることはありません。(『法句経』第3偈)
つまり、「やられたらやり返す!」とか「あの時のこと、絶対忘れない!」と恨みを持ち続ける限り、その苦しみはずっと続いてしまう、ということなんです。
まるで、自分で自分に火をつけて、燃え続けているようなもの。
熱くて、苦しいですよね。
「許し」って、誰のため?
「許す」と聞くと、「相手のためになるの?」「悪いことをした人を許すなんてできない!」と思うかもしれません。
でも、仏教で考える「許し」は、ちょっと違うんです。
「許し」は、相手へのプレゼントというより、あなた自身の心のお掃除、いわば「心のデトックス」なんです。
心の重荷を下ろして、あなたが楽になるためのもの。
相手のしたことを「なかったこと」にする必要も、その人を「好きになる」必要もありません。
ただ、「この苦しみから、私は自由になる!」と決めること。
それが「許し」の第一歩なんです。
まるで、ずっと背負ってきた重たいリュックサックを、思い切って下ろすような感覚です。
お釈迦様流!心を「軽くする」5つのステップ
では、どうすれば心の「重荷」を下ろし、軽やかな心を取り戻せるのでしょうか?
お釈迦様の知恵をヒントに、5つのステップを見ていきましょう。
ステップ1:自分の心の声に耳を澄まそう(感情の気づき)
まず大切なのは、「あ、今、私、怒ってるな」と、自分の心の状態に気づくことです。
まるで心の中から聞こえてくる小さな声に、そっと耳を傾けるように、自分の感情をキャッチするんです。
「こんなことで怒るなんて、私ってダメかな?」なんて自分を責める必要はありません。
お釈迦様は、まず自分の状態を正しく見つめること(正見(しょうけん))が大切だと教えています。
自分の感情を否定せず、「そうか、私は今こう感じているんだな」と、ただ受け止めてみましょう。
紙に書き出すのも、心の整理に役立ちますよ。
ステップ2:適切な距離感を大切にしよう(心と体の距離)
心がザワザワする相手とは、少し距離を置いてみましょう。
物理的に会う回数を減らすだけでなく、心の中でも「この人のことで、これ以上悩まないぞ」と意識的に距離を取るんです。
これは、相手を無視するということではありません。
人間関係にも、「適切な距離感」が必要なんです。
近すぎると、お互いに窮屈になってしまいますからね。
執着から離れること(離欲(りよく))で、心は穏やかさを取り戻し始めます。
ステップ3:「許し」という心の地図を手に入れよう(許しの意味)
「許す」ことで、誰が一番得をするか?
それは、他の誰でもない、あなた自身です。
恨みを持ち続けることは、過去という名の「行き止まり」にずっと立ち止まっているようなもの。
でも、「許す」と決めることで、新しい道が見えてくる「心の地図」を手に入れることができます。
お釈迦様が説かれた知恵とは、物事の本質を見抜き、苦しみから解放されるための力。
「許し」は、まさにその知恵の実践なんです。
「この苦しみから解放されて、私はもっと楽に、自由に生きる!」そう決意してみませんか?
ステップ4:心の「お掃除」タイム、始めませんか?(感情の浄化)
心に溜まった怒りや悲しみは、定期的に「お掃除」してあげましょう。
静かな場所でゆっくり深呼吸する瞑想は、心を落ち着かせるのにとても効果的です。
また、感じていることを日記に書き出したり、好きな音楽を聴いたり、体を動かしたりするのもいいですね。
公園を散歩したり、自然に触れたりするのも、心を癒やす素晴らしい方法です。
そして、空いた心のスペースに、お釈迦様が大切にされた慈悲(じひ)の心、つまり、自分や他の人への優しさや思いやりの気持ちを少しずつ満たしていくことを意識してみましょう。
仏様は私たちをいつも大きな慈悲の光で包んでくださっていることを思い出してみるのも、心が温かくなるかもしれませんね。
ステップ5:「NO」って言うの、カッコ悪くない!(境界線を引く)
「許した」からといって、また同じように傷つけられてしまうのは避けたいですよね。
自分を守るために、相手との間に「境界線」を引くことは、とても大切です。
「これ以上は、踏み込まないでください」と、心の中で線引きをする。
無理に仲良くする必要もありません。
これは、冷たい態度をとるのではなく、自分を守るための賢い選択です。
お釈迦様が説かれた中道(ちゅうどう)の精神にも通じます。
どちらか一方に偏らず、自分にとって適切なバランスを見つけることが大切なんです。
「嫌なことは嫌」「できないことはできない」と伝えること、それは決してカッコ悪いことではありません。
自分を守る大切な「盾」なのです。
「許し」は、心の自由へのパスポート
「許し」への道は、決して簡単ではありません。
時間がかかることもあります。
「今はまだ、どうしても許せない…」
それでいいんです。
大切なのは、「許せない自分」を責めないこと。
そして、「いつかはこの重荷を下ろして、楽になりたいな」
という気持ちを持ち続けることです。
お釈迦様の教えや、私たちを常に照らしてくださる慈悲は、その道のりを歩むあなたの背中を、そっと押してくれるはずです。
心の「重荷」を少しずつ下ろして、軽やかな心で、また新しい一歩を踏み出していきましょう。
あなたの心が、少しでも軽くなることを心から願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ー合掌ー