栄華を極めた古代文明も、やがては歴史の彼方に消え去りました。
そして人の価値観も、時代と共に同じように盛衰を繰り返します。
紀元前4000年頃からメソポタミアで栄えたシュメール文明も、その一つです。
彼らは、世界で初めて文字(楔形文字)を発明し、天体を観測して太陽暦を取り入れ、さらに、大規模な灌漑(かんがい)で水路を整備して農業を発展させ、高度な都市国家を築き上げました。
シュメール文明の教訓:繁栄を滅ぼしたのは、心の怠慢だった
これほどまでに偉大な文明が、なぜ滅びてしまったのでしょうか?
そこには、内部での権力争いと、変化に対応できない人々の姿があったと言われています。
シュメールの都市国家は、それぞれが独立した王によって治められていました。
王たちは自分の権威と土地を守ることに必死で、お互いに争いを繰り返します。
また、治水技術や農業が進んだことで、人々は安定した生活を手に入れました。
その結果、「このままでいい」という安心感が広がり、新しい技術や考え方を柔軟に受け入れることができなくなっていったのです。
やがて、外部から新しい民族がやってきたとき、彼らは団結して立ち向かうことができず、あっけなく滅んでしまいました。
これは他人事ではありません。
私たちの心や、所属するコミュニティにも同じことが言えるのではないでしょうか。
過去の栄光が足かせに?:「変われない心」が招く崩壊
過去の成功体験にしがみつき、新しいやり方を拒む。
「昔はこうだった」と現状維持を望む。
そして、自分の権力や立場を守るために、新しい風を入れようとしない。
そうして私たちは、いつの間にか「変われない自分」になってしまうのです。
しかし、本当に守りたいものは何でしょう?
過去のやり方でしょうか?
それとも、未来へと続く、あなた自身の輝きでしょうか?
「変わる」とは、手放すことではなく、進化すること
多くの方が「変わるのが怖い」とおっしゃいます。
「変わったら、今まで積み上げてきたものが無くなってしまうんじゃないか」と。
でも、本当にそうでしょうか?
仏教には「諸行無常」という教えがあります。
この世のすべてのものは、常に移り変わり、同じ状態にとどまることはない、という真理です。
私たち自身もまた、生まれてから死ぬまで、常に変化し続けています。
それは自然の摂理であり、生きている証なのです。
ダーウィンが語った、生き残る者の唯一の条件とは?
生物学者であるチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)氏は、著書『種の起源』(1859年)の中で、こう述べています。
最も強い者が生き残るのではない、
最も賢い者が生き延びるのでもない、
唯一生き残るのは、変化できる者である。
過去の成功や、執着を手放すことは、決して「失う」ことではありません。
それは、次の成長のために必要な「変化」なのです。
過去に固執し、変化を恐れてばかりいては、いつか枯れてしまいます。
「承認欲求」を手放すと、心は驚くほど自由になる
心理学者であるアルフレッド・アドラーは、人間の悩みはすべて対人関係から生じると考えました。
そして、その多くの悩みは「承認欲求」、つまり「他者から認められたい」という気持ちから生まれると説きました。
権力や名誉に囚われている時、私たちは「他者からどう見られるか」ばかりを気にしています。
しかし、本当に大切なのは、自分自身がどうありたいか、ではないでしょうか。
承認欲求を手放し、「ありのままの自分」を受け入れること。
それこそが、心を自由にし、前向きに生きる第一歩なのです。
禅の教え「百尺竿頭進一歩」が示す、真の成長とは?
仏教の禅の言葉に「百尺竿頭進一歩(ひゃくしゃくかんとうしんいっぽ)」という教えがあります。
これは、非常に高い竿の先に達したとしても、そこにとどまらず、さらに一歩踏み出す勇気を持ちなさい、というものです。
この一歩を踏み出した先に、本当の悟りや新しい世界が拓けるのだと説いています。
これは、過去の成功や、現在の安定した場所に安住せず、常に自分を成長させ、新しい挑戦へと向かうことの大切さを教えてくれます。
変わることは、苦しいことかもしれません。
しかし、変わらなければ、やがて取り残されてしまいます。
「変わる勇気」が、あなたの未来をひらく鍵になる
本当に守りたいものがあるのなら、そのために「変わり続ける勇気」を持つことが大切なのです。
今、もしあなたが何かに行き詰まり、落ち込んでいるのなら、それは、新しい自分に生まれ変わる好機かもしれません。
過去の自分を手放し、新しい一歩を踏み出す勇気を持ってください。
その一歩が、きっとあなたの未来を拓いてくれます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ー合掌ー