「お金が出ていく不安」はなぜ消えないのか
給料日、通帳の数字が増えると安心する。 でも数日後には、家賃、食費、光熱費…数字は減り、胸がざわついてしまいます。
心理学者ダニエル・カーネマンの研究によれば、人は得た喜びよりも、失う痛みを「約2倍」も強く感じるとされています。
これをプロスペクト理論と呼びます。
1万円を拾った喜びよりも、1万円を落としたショックの方が、私たちの心には2倍重くのしかかるのです。
つまり、お金が減るときに不安になるのは、あなたの脳が正常に機能している証拠。
これは、人間の本能そのものなのです。
仏教が語る「お金の性質」
お釈迦さまは、すべての存在は移ろうと説きました。 これを無常といいます。
お金も同じです。
ためて、減らさない」ことは、川の流れをせき止めようとするようなもの。
やがて水はよどみ、腐ってしまいます。
禅の言葉に、こうあります。
「財は水のごとし。流せば清く、止めれば濁る」
お金は、使われてこそ価値を生むものです。
それは誰かの手に渡り、別の価値や笑顔を生み、巡り巡ってまたあなたに戻ってきます。
この循環の考え方を、仏教では縁起と呼びます。
科学も証明する「巡るお金の力」
米国ミシガン大学の研究では、寄付や誰かへの贈り物をした人のほうが、自己満足や幸福感が長く続くことが分かっています。
つまり、お金を「ためる」より「流す」方が、脳は長期的に幸せを感じやすいのです。
手放すほど、不思議と入ってくる
キリスト教にも似た教えがあります。
聖書には「与えなさい。そうすれば与えられる」とあります。
神道でも、祭りや神事は「恵みを分かち合う場」であり、それがまた新しい実りを呼ぶとされています。
つまり、お金は「自分のもの」と抱え込むほど苦しくなり、「流す」ほど巡りやすくなる。
この流れの中で生きるとき、不思議と必要なときに必要な分が入ってくるのです。
今日からできる「お金を巡らせる習慣」
小さな寄付をする
金額よりも、「誰かの役に立つ喜び」を感じることが大切です。
お金を感謝と一緒に使う
レジで支払うとき「ありがとう」と心で唱えてみてください。
モノより経験に使う
あなたの内側を高めることへの投資が長く幸福感が続きます。
お金は川、あなたは流れの一部
古代ローマの哲学者セネカは、富の本質をこう表現しました。
「富は、知者にとっては召使いであり、愚者にとっては主人である」
つまりお金に支配されるのではなく、あなたの心が豊かになるために使うことが大切なんです。
お金は、流れる川の水のようなものです。
すべてを抱え込むことはできません。
あなたがその流れの一部として、与え、受け取り、また与える。
その循環の中でこそ、お金は「主人」から「頼もしいパートナー」へと変わり、あなたの心は驚くほど軽く、豊かになっていくはずです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


