「ああ、もっとお金があったなら…」
「お金さえあれば、この苦労から解放されるのに…」
先の見えない不安や、日々の生活の中で、ふと、そんな思いが心をよぎることはありませんか?
確かに、私たちが心穏やかに毎日を送るために、お金はとても大切なものです。
それは間違いありません。
しかし、そのあまりにも強い光に心がくらみ、お金に「囚われて」しまうと、せっかく手にしたはずの穏やかな毎日でさえ、苦しいものに変えてしまうことがあるのです。
「もっと欲しい!」その気持ち、あなたの心をすり減らしていませんか?
お金は、私たちの生活を支え、彩りを与えてくれる、とても大切な「道具」です。
美味しいものを食べたり、大切な誰かに贈り物をしたり、安心できる住まいを整えたり・・・
お金があることで避けられる不幸は、確かにたくさんあります。
しかし、その「道具」に心が縛られてしまうと、私たちは苦しみ始めます。
「もっと、もっと」と追い求める気持ちは、渇きのように、私たちの心を潤すどころか、かえってカラカラにしてしまうことがあります。
他人と比べては落ち込み、足りないものばかりに目が向き、いつしか感謝の気持ちさえ忘れてしまう。それでは、本末転倒です。
そんな時、そっと心に思い出したい、お釈迦さまの智慧があります。
お釈迦さまが説かれた「最高の富」― それは『足るを知る』心
仏教の古い経典『ダンマパダ(法句経)』の中に、このような言葉があります。
『足るを知るは、最上の富なり』(ダンマパダ 第204偈より)
これは、「今、自分がいかに恵まれているかに気づき、満たされていることを知る心こそが、何ものにも代えがたい最高の宝物なのですよ」という、お釈迦さまからの温かいメッセージです。
決して「欲を捨てなさい」ということではありません。
むしろ、自分にとっての「ちょうどいい」を知り、穏やかな心を守るための、時代を超えた確かな指針なのです。
雨風をしのげる家があること。
今日を生きる糧があること。
話を聞いてくれる家族や友人がいること。
道端に咲く花の美しさに気づける心があること。
数え上げれば、私たちはすでに、数えきれないほどの「ありがたいもの」に囲まれています。
その一つひとつに「ありがとう」と手を合わせる心。
それこそが、お釈迦さまが教えてくださった「最高の富」なのです。
「使い方」で幸福度は変わる?科学が示すお金と心の関係
「幸せはお金だけでは決まらない」ということは、近年の研究でも明らかになってきました。
たとえば、心理学や行動経済学の分野では、興味深い研究があります。
ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマン氏らの研究によると、
私たちの幸福度は、収入が増えて生活が安定するにつれて上昇しますが、一定のラインを超えると、それ以上お金が増えても幸福感はあまり大きく伸びなくなる、という結果が出ています。
さらに興味深いのは、
お金の「量」よりも「使い方」が、私たちの幸福感に大きく影響するということです。
たとえば、
・ブランド品などを買う「モノ消費」よりも、旅行や誰かと食事をするなどの「経験」にお金を使う
・自分のためだけに使うのではなく、誰かへのプレゼントや寄付など、人のためにお金を使う
このような使い方をした方が、幸福感がより高く、そして長く続くことが分かっています。
これは、仏教で説かれる「利他の心(他者を思いやる心)」が、巡り巡って自分自身の心をも豊かにすることと、深く通じ合っているように思えてなりません。
さあ、あなたの「幸せのカタチ」を見つける旅へ
この記事を読んでくださっているあなたは、きっと、とても真面目で、優しい心をお持ちなのだと存じます。
だからこそ、色々なことを抱え、悩んでしまうのかもしれません。
完璧な答えなど、どこにもありません。
しかし、お金という道具に振り回されず、心穏やかに生きるためのヒントは、あなたの心の中にすでに存在します。
・今日あった「有り難いこと」を、一つだけ思い出してみませんか。
・物を買う時、「これは本当に私の心を豊かにしてくれるだろうか」と問いかけてみませんか。
・ほんの少し、誰かのために時間やお金を使ってみませんか。
大切なのは、あなた自身の「心の声」に耳を澄ませることです。
あなただけの「幸せのカタチ」を見つけ、お金をそのための頼もしいサポーターにしていく。
その小さな一歩が、あなたの毎日を、温かく、光り輝くものに変えてくれるはずです。
あなたの毎日が、穏やかで心豊かなものでありますよう、心よりお祈り申し上げております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ー合掌ー